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Foreigner – Foreigner 完全レビュー|Cold as Ice で始まったアリーナAOR黄金期(1977)

Foreigner デビュー作 レビュー
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1977年3月、Foreigner はデビュー・アルバム『Foreigner』を Atlantic Records からリリースした。元 King Crimson / Spooky Tooth のイギリス人ギタリスト Mick Jones が、元 Black Sheep のニューヨーカー Lou Gramm をヴォーカリストに迎え、Ian McDonald(King Crimson 創設メンバー)、Al Greenwood、Dennis Elliott、Ed Gagliardi の6人組として始動した本作は、Billboard 200 で4位、最終的に米国だけで500万枚(5倍プラチナ)を売り上げた。”Feels Like the First Time” “Cold as Ice” “Long, Long Way from Home” の3つのシングルがチャート入りし、アリーナAOR黄金期の幕開けを告げる歴史的1枚となった。

Foreigner - Cold As Ice (Official Music Video)
目次

このアルバムを聴くべき3つの理由

  • Cold as Ice — 80年代アリーナロックの代名詞となるピアノ・リフの原型。Al Greenwood の演奏は今も鳥肌が立つ
  • Mick Jones のイギリス的洗練と、Lou Gramm のアメリカン・ハードロックの邂逅。バンド名 “Foreigner”(異邦人)はこの “国境を超えた音楽” の比喩
  • King Crimson 経由の Ian McDonald(フルート、サックス、マルチ楽器)の参加。プログレ的な複雑さがロックの中に紛れ込む

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背景:英米ロック界のクロスオーバー

Mick Jones は1944年ロンドン生まれ。1960年代から英国ロック・シーンで活動し、Nero and the Gladiators、Johnny Hallyday のバック・バンド、Spooky Tooth(1973年再結成版)などを経て、1976年にニューヨークに移住。新バンド結成のためにヴォーカリストを探していた。

Lou Gramm は1950年ロチェスター(NY州)生まれ。Black Sheep というハードロック・バンドで2枚のアルバムを残していたが、商業的な成功を得られず、解散直前だった。Mick Jones は Black Sheep のテープを聴き、Lou のシャウト・ヴォーカルに惚れ込んで即座にスカウトした。

Ian McDonald は1946年イギリス生まれ、King Crimson 創設メンバー(”Court of the Crimson King” のサックス、フルート、メロトロン奏者)。McDonald & Giles を経て、Mick Jones のニューヨークでの新プロジェクトに合流した。バンド名 “Foreigner”(異邦人、外国人)は、メンバーのうち半数がイギリス人、半数がアメリカ人であることに由来する。

録音は1976年〜1977年初頭、ニューヨークの The Hit Factory で。プロデュースは John Sinclair(後の元 Uriah Heep ではなく、別人)と Gary Lyons の共同プロデュース、Mick Jones も実質的に主導した。

全曲レビュー(Side A → Side B)

Side A

1. Feels Like the First Time(3:50)★ ティアA

本作のオープナーにして先行シングル。Billboard Hot 100 で4位の大ヒット。Mick Jones の作曲。冒頭の Al Greenwood の Oberheim シンセ・パッド、続く Lou Gramm のシャウト・ヴォーカル “I would climb any mountain…” は、80年代アリーナロックの音響テンプレートを定義した。Mick Jones のリフは、ハードロックの強度とポップ・ロックの親しみやすさを完璧に均衡させている。

2. Cold as Ice(3:21)★ ティアA

シングル・カット(Billboard Hot 100 で6位、Mainstream Rock チャート1位)。Mick Jones / Lou Gramm の共作。冒頭の Al Greenwood のピアノ・リフ “ダ、ダンダン、ダ、ダンダン” は、80年代アリーナロック・ピアノ・リフの原型となった、ロック史上もっとも有名なピアノ・フレーズのひとつ。

歌詞は冷たい恋人を非難する Lou Gramm のシャウトで、サビの “You’re as cold as ice / You’re willing to sacrifice our love” のフレージングは、ロック史上もっともキャッチーなボーカル・フックの一つとして、現在もスポーツイベント、テレビ広告、映画で使用され続けている。

3. Starrider(4:00)

Ian McDonald 主導のプログレ寄りナンバー。彼のフルートが効いた、King Crimson 的なスケール感を持つ楽曲。Foreigner が単なるアリーナロックバンドではなかったことを示す重要な1曲。

4. Headknocker(3:30)

ファンキーなロック・ナンバー。Lou Gramm のヴォーカルが最もシャウト寄りに展開する。

5. The Damage Is Done(3:33)

本作のなかで最もメロウなバラード寄り曲。Lou Gramm のヴォーカル表現の幅を示す重要な1曲。

Side B

6. Long, Long Way from Home(2:55)★

シングル・カット(Billboard Hot 100 で20位)。本作のなかで最も “イギリス的洗練” を感じさせる楽曲で、Ian McDonald のサックス・ソロが彩る。Mick Jones がニューヨークでの異邦人としての孤独を歌う、自伝的な歌詞。

7. Woman Oh Woman(3:25)

Lou Gramm 主導のミドル・テンポ。彼のシャウト・ヴォーカルが最も “Robert Plant 的” に響く1曲。

8. At War with the World(4:25)

本作のなかでもっとも社会派の歌詞を持つ楽曲。Mick Jones のギター・ソロが長く展開する。

9. Fool for You Anyway(4:11)

本作のなかでもっとも繊細な楽曲。Al Greenwood のピアノが主役で、Lou Gramm のヴォーカルが極度に抑制される。後の “Waiting for a Girl Like You”(『4』、1981)に繋がるバラードAOR の萌芽がここにある。

10. I Need You(5:00)

クロージング。本作中もっとも長尺な楽曲で、Mick Jones のギター・ソロが終盤に長く展開する。アルバム全体を力強く閉じる。

参加メンバー(Foreigner 6人組)

  • Lead Vocals: Lou Gramm
  • Guitar/Keyboards/Backing Vocals: Mick Jones
  • Saxophone/Flute/Backing Vocals: Ian McDonald
  • Keyboards/Synthesizer: Al Greenwood
  • Bass: Ed Gagliardi
  • Drums: Dennis Elliott
  • Producer: John Sinclair, Gary Lyons, Mick Jones

このオリジナル6人組は、1979年の『Head Games』までの3作で活動。1980年に Mick Jones が Ian McDonald と Al Greenwood を編成から外し、4人組として再編されたが、本作とその次の Double Vision で完成された “アリーナAOR” の音響テンプレートは、彼ら6人の貢献によって構築された。

アリーナAOR の幕開け

本作のリリースは、1977年の AOR / アリーナロック・シーンにとって重要な転換点となった。当時、Eagles『Hotel California』(1976)、Boston『Boston』(1976)、Steely Dan『Aja』(1977) など、AOR の黄金期が始まったタイミングで、Foreigner は “ハードロック寄りのAOR” という新しいニッチを切り拓いた。

本作の音楽性は、Journey、Boston、Styx、Kansas、REO Speedwagon らと並んで、70年代後半〜80年代前半の “アリーナAOR” 黄金期を象徴する音響を提供した。AOR が単なる “大人向けロック” ではなく、商業的な大ヒットを生み出すジャンルであることを証明した、歴史的な1枚である。

このアルバムの位置付け

  • 1977: Foreigner(本作、デビュー作)
  • 1978: Double Vision(”Hot Blooded” を擁する)
  • 1979: Head Games(メンバー対立)
  • 1981: 4(4人組再編後の頂点)
  • 1984: Agent Provocateur

私的な感想——Cold as Ice のピアノ・リフ

“Cold as Ice” の Al Greenwood のピアノ・リフを聴くたびに、80年代のロック・ラジオの黄金期を思い出す。ハードロックとポップ・ロックが境界線なく流れていた、あの時代の音響的精神そのものが、この3分21秒のなかに完璧に閉じ込められている。Foreigner は技術的な派手さよりも “フックの強度” で勝負するバンドで、その代表的な瞬間が本作には詰まっている。

AOR を語るとき、僕たちはしばしば Boz Scaggs や Steely Dan の “技巧” を称えるが、Foreigner『Foreigner』のような “ストレートな商業ロック” もまた、AOR の重要な側面である。本作は、AOR / アリーナロックの “入口” として、いつ聴いても新鮮な1枚である。

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