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Reckless – Bryan Adams 完全レビュー|Summer of ’69 で80年代を象徴したカナダ人の決定盤(1984)

Reckless - Bryan Adams レビュー
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1984年11月、Bryan Adams は通算4枚目のスタジオ・アルバム『Reckless』を A&M Records からリリースした。カナダ・キングストン出身の Adams は、過去3作(1980〜1983)で着実にキャリアを築いてきたが、本作で爆発的成功を収め、Billboard 200 で2週連続1位、最終的に米国だけで500万枚(5倍プラチナ)、世界中で1,200万枚以上を売り上げた。”Run to You” “Somebody” “Heaven” “Summer of ’69” “It’s Only Love”(Tina Turner とのデュエット)”One Night Love Affair” の6つのトップ20シングルを連発、80年代アリーナAOR の代表的なヒット作の一つとなった。Bob Clearmountain のミックスは、その後の80年代後半〜90年代のロック音響の基準点となった。

Bryan Adams - Run To You (Official Video)
目次

このアルバムを聴くべき3つの理由

  • Summer of ’69 — 80年代を象徴する “青春の回想” ソング。ライブの定番として現在も世界中で愛される
  • Bob Clearmountain のミックス。リバーブ、コンプレッサー、ステレオ・スペースの完璧な使用で80年代ロックの音響基準を定義
  • Bryan Adams と Jim Vallance のソングライティング・コンビ。シンプルなロック・フォーマットに普遍的な感情を込める方法論

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背景:Cuts Like a Knife から Reckless へ

Bryan Adams は1959年カナダ・キングストン生まれ、バンクーバー育ち。15歳でプロ・ミュージシャンとしての活動を開始し、Sweeney Todd(カナダのグラム・ロック・バンド)のヴォーカリストとして1977年デビュー。1980年に A&M Records と契約し、自身のソロ・キャリアを開始。前作『Cuts Like a Knife』(1983) でブレイクの兆しを見せ、本作で完全にメインストリーム入りを果たした。

Adams のソングライティング・パートナーは、長年の盟友 Jim Vallance(カナダ人ドラマー/ソングライター)。彼らのコンビは、シンプルなロック・フォーマットに普遍的な感情を込める方法論を確立しており、本作の楽曲群はすべて Adams/Vallance の共作(一部 “It’s Only Love” のみ Adams 単独)。

プロデュースは Bob Clearmountain(David Bowie『Let’s Dance』、The Rolling Stones『Tattoo You』のミキシング・エンジニア)と Bryan Adams の共同プロデュース。Clearmountain のミックスは、本作以降の80年代後半〜90年代のすべてのロック・アルバムのリファレンスとなった。録音は1984年初頭、Vancouver の Little Mountain Sound Studios と Power Station(ニューヨーク)で。

全曲レビュー(Side A → Side B)

Side A

1. One Night Love Affair(4:35)★

シングル・カット(Billboard Hot 100 で13位)。Adams の代表的なロック・バラードの一つ。Keith Scott のギター・ソロが彩る、AOR の典型例。

2. She’s Only Happy When She’s Dancin’(3:12)

軽快なロック・ナンバー。本作のなかで最もポップ寄りの楽曲。

3. Run to You(3:55)★ ティアA

第1弾シングル(Billboard Hot 100 で6位、Mainstream Rock 1位)。Adams/Vallance の共作。冒頭の Keith Scott のギター・リフが定義した80年代アリーナロックの音響テンプレートは、後の Def Leppard、Bon Jovi に直接影響を与えた。”Cause I’m gonna run to you, I’m gonna run to you” のサビは、80年代アリーナロックの代表的なフックの一つ。

4. Heaven(4:02)★ ティアA

シングル・カット(Billboard Hot 100 で1位)。Adams 初の全米1位獲得シングル。”Baby, you’re all that I want / When you’re lyin’ here in my arms” の歌い出しから、サビ “And baby you’re all that I need” のクライマックスまで、AOR バラードの典型的な構造を完璧に体現する。Mickey Curry のドラム、Tommy Mandel のシンセが、本曲の “壮大さ” を完璧に音響化する。

5. Somebody(4:48)★

シングル・カット(Billboard Hot 100 で11位)。本作のなかでもっともロック寄りの代表曲。

Side B

6. Summer of ’69(3:35)★ ティアA

シングル・カット(Billboard Hot 100 で5位、Mainstream Rock 1位)。本作の——そして Bryan Adams のキャリア全体の——もっとも有名な楽曲。Adams/Vallance の共作。”I got my first real six-string / Bought it at the five and dime”——若き日の青春を回想する歌詞は、世代を超えて普遍的なノスタルジーを呼び起こす。

“Standin’ on your mama’s porch / You told me that you’d wait forever” のフレーズは、80年代アリーナロックの “青春の劇場” の典型例。ライブでの大合唱の定番として、現在もスタジアム・ライブで欠かせない1曲。Adams は後年、この楽曲のタイトルが “1969年の夏” ではなく “1969年(69)= 性的な意味” を表していると示唆して話題になった——彼自身は1969年当時は9歳で、リアルな青春の記憶ではない。

7. Kids Wanna Rock(2:36)

本作中もっとも短く、もっともストレートなロック・ナンバー。3分以下で完結する小品。

8. It’s Only Love(3:14)★

シングル・カット(Billboard Hot 100 で15位)。Tina Turner とのデュエット。Turner は同年『Private Dancer』(1984) で大ブレイク中で、両者のシャウト・ヴォーカルの掛け合いは、80年代ロックのデュエットの典型例として記憶されている。グラミー賞 Best Rock Performance by a Duo or Group with Vocal を獲得。

9. Long Gone(3:25)

本作のなかで最もミドル・テンポなロック・バラード。Adams のヴォーカル表現の幅を示す。

10. Ain’t Gonna Cry(3:47)

クロージング。本作のテーマである “決して諦めない” 姿勢を、シンプルなロック・ナンバーで締めくくる。

参加メンバー(Adams バンド+客演)

  • Vocals/Guitar: Bryan Adams
  • Lead Guitar: Keith Scott
  • Bass: Dave Taylor
  • Drums: Mickey Curry
  • Keyboards: Tommy Mandel
  • Backing Vocals: Bryan Adams, Jim Vallance
  • Guest Vocal: Tina Turner(”It’s Only Love”)
  • Producer: Bryan Adams, Bob Clearmountain

Keith Scott は Adams のキャリア全体を通じて固定のリード・ギタリスト。彼のクリーン・トーンのリフ・スタイルは、80年代アリーナロック・ギター語彙の重要な参照点。Mickey Curry のドラムも、80年代ロックの “クリスプ” な音響を定義した。

Bob Clearmountain のミックスと80年代ロックの音響

本作の音楽史的な重要性のひとつは、Bob Clearmountain のミックスが、80年代後半〜90年代のロック・アルバムの “音響基準” を定義した点にある。彼のミックスの特徴:

  • “Clear and present” な明瞭さ。すべての楽器が前面に出ながら、混濁しない
  • リバーブの最適な使用。Mickey Curry のスネアに浅いプレート・リバーブをかけることで、楽曲の “広がり” を作る
  • コンプレッサーによるダイナミクスの圧縮。低音域から高音域までフラットに聴こえる
  • ステレオ・スペースの完璧な使用。ギター左右、ヴォーカル中央、コーラス左右という典型的な配置

この音響設計は、本作以降の Bon Jovi、Def Leppard、Aerosmith などのすべての80年代後半アリーナロック作品のリファレンスとなった。AOR の “音響的洗練” の典型例として、本作は現在もミキシング・エンジニアの教科書である。

このアルバムの位置付け

  • 1981: You Want It You Got It
  • 1983: Cuts Like a Knife
  • 1984: Reckless(本作、頂点)
  • 1987: Into the Fire
  • 1991: Waking Up the Neighbours(”(Everything I Do) I Do It for You”)

私的な感想——Summer of ’69 の永遠

“Summer of ’69” を聴くたびに、僕は自分の “1969年” を探す。それは Bryan Adams にとっての1969年ではないが、自分にとっての “若さの夏” のことである。AOR のもっとも普遍的な力は、こうした “個人的な記憶の刺激” にある。本作の楽曲群は、80年代の特定の時代の音楽でありながら、世代を超えて “誰もが知っている青春” を喚起する。

Bryan Adams は技術的にもっとも上手いヴォーカリストではない。だが、彼のシャウトには、80年代アリーナロックの “誠実さ” がある。本作は、AOR / アリーナロックの “若さ” の側面を最も鮮明に示す、必修科目である。

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