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AOR 隠れ名盤 10選|通好みの”隠れた名盤”を厳選レビュー【保存版】

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「有名どころは聴いた。次の一枚が知りたい」——そんなAORリスナーへ。EaglesやTOTO、Boz Scaggsといった王道の陰に、いまも輝きを失わないAORの隠れ名盤がある。本記事では、ヨットロックからメロウAOR、ブルーアイドソウルまで、通好みの”隠れた名盤”を10枚厳選。各作品の聴きどころと、当サイトの全曲レビューへのリンク付きで紹介する。

まず全体像をつかみたい人は AOR名盤ランキング100選 も合わせてどうぞ。ここでは、その中でも特に”見落とされがち”な一枚にフォーカスする。

先に「隠れ名盤」の定義を示しておく。(1)シングルヒットはあってもアルバムが正当に評価されていない、(2)日本盤CDが長く廃盤・入手難だった時期がある、(3)ストリーミングで今すぐ聴けるのに再生数が実力に見合っていない——この3条件のいずれかを満たす作品から、当サイトで全曲聴き込んだ10枚を選んだ。

1. Player『Player』(1977) ── 「Baby Come Back」

ホール&オーツ直系のブルーアイドソウルを、よりポップに磨き上げたデビュー作。全米No.1ヒットの陰で、アルバム全体の隙のない完成度は見過ごされがちな”AORの理想形”。

RSOレコード、1977年。「Baby Come Back」は1978年初頭に全米1位(3週)を記録した。プロデュースはLambert & Potter。RSOは『サタデー・ナイト・フィーバー』と同じレーベルであり、ディスコ全盛の渦中でミディアムのブルーアイドソウルを頂点へ送り込んだ事実にこのバンドの地力が出ている。アルバム全体ではロック寄りの曲も多く、「Baby Come Backだけのバンド」という誤解が最ももったいない。

2. Ambrosia『Life Beyond L.A.』(1978) ── 「How Much I Feel」

プログレ出身のバンドが、緻密なコーラスとアレンジを武器に洗練されたメロウAORへ舵を切った転換作。バラードの濃度が段違い。

ワーナー移籍第1弾、1978年。「How Much I Feel」は全米3位。初期2作はプログレッシブ・ロック路線で、その構築力がAORへ転用された好例だ。ヒットバラードの陰で攻めたアレンジの曲が同居しているのが本作の本当の価値。David Packの声は、この後「AORの声」の一つとして記憶されていく。

3. Pablo Cruise『Worlds Away』(1978) ── 「Love Will Find a Way」

西海岸の風を感じる爽快なヨットロック。軽やかなのに演奏は達者で、夏の定番として何度でも戻りたくなる一枚。

A&M、1978年。「Love Will Find a Way」は全米6位。サンフランシスコ出身らしく、LA勢より少し無邪気で開放的なグルーヴが身上だ。鍵盤Cory Leriosのエレクトリック・ピアノが終始心地よく、「ヨットロック」という言葉のイメージを音にするなら、まずこの1枚。

4. Robbie Dupree『Robbie Dupree』(1980) ── 「Steal Away」

ドゥービー〜マイケル・マクドナルド系のメロウAORを、ほぼ無名のシンガーが完璧に体現したデビュー作。”隠れ名盤”の代名詞的存在。

エレクトラ、1980年。「Steal Away」は全米6位、翌年のグラミーでは最優秀新人賞にノミネートされた。Doobie Brothers「What a Fool Believes」に似ていると当時話題になった逸話は、裏を返せば「マクドナルド・サウンド」が一つの様式として確立していた証拠。様式美としてのAORを味わう教科書だ。

5. Andrew Gold『Andrew Gold』(1975)

Linda Ronstadt作品の影の立役者にして、LAきってのマルチ奏者。職人的なポップ感覚が詰まった宅録ソロのデビュー作。

アサイラム、1975年。Linda Ronstadt『Heart Like a Wheel』などを支えたマルチ・プレイヤーのソロデビュー作で、多くの楽器を自身で演奏している。代表曲「Lonely Boy」は2年後の3作目収録——本作の魅力は、ヒット前夜の職人の手つきそのものにある。ソフトロックからAORへ移る過渡期の空気を真空パックした記録だ。

6. Stephen Bishop『Bish』(1978)

名ソングライターによる洒脱なソフトロック。豪華ゲストが彩る、メロウで都会的な筆致が光る佳作。

ABCレコード、1978年。「On and On」(全米11位)を生んだ『Careless』に続く2作目で、著名ミュージシャンが多数ゲスト参加した。「歌の上手さ」より「筆致の上手さ」で聴かせるタイプの代表格。2作目らしい余裕と実験の同居が心地よい。

7. Loggins & Messina『Native Sons』(1976)

Kenny Loggins独立前夜、名コンビ最後のスタジオ作。ソフトロックの成熟がAORへ橋渡しされる瞬間が刻まれている。

コロムビア、1976年。デュオ最後のスタジオ作で、Kenny Logginsはこの後ソロへ転じ『Celebrate Me Home』(1977)を発表する。解散前夜の緊張感より円熟の穏やかさが勝り、カントリーロックの素材をスタジオワークで都会的に磨く手つきに、来たるAOR時代の予告編が刻まれている。

8. Marc Jordan『Mannequin』(1978)

Steely DanのプロデューサーGary Katz制作。緻密で都会的なサウンドは、まさに通好み。日本でのみ評価が高い”真の隠れ名盤”。

ワーナー、1978年。プロデュースはSteely Danを手がけたGary Katz。「Marina del Rey」を収録し、LAのトップ・セッション勢が脇を固める。Steely Dan制作チームの音響哲学を歌もの寄りに応用した作品で、日本のAORファンの間で評価が突出して高い「日本発掘型」隠れ名盤の代表だ。

9. Pages『Pages』(1978)

のちにMr. Misterを結成するRichard Page & Steve Georgeのデビュー作。複雑なコード感とコーラスが詰まった、AORマニア垂涎の一枚。

エピック、1978年。Richard PageとSteve Georgeはのちに Mr. Mister を結成し、「Broken Wings」「Kyrie」で全米1位に立つ。本作はその成功の前にあった、コードワークとコーラスの実験室。難解になりそうな素材を歌心で成立させるバランス感覚は、後の大成功の伏線として聴くと味わい深い。

10. Bill LaBounty『This Night Won’t Last Forever』(1978) ── 「This Night Won’t Last Forever」

夜に寄り添うメロウなヨットロックAOR。シンガーソングライターとしての繊細な筆致が光る、知る人ぞ知る一枚。

ワーナー/カーブ、1978年。タイトル曲は翌1979年、Michael Johnsonのカバーで全米19位のヒットになった。「本人版よりカバーが売れた」ソングライターの宿命を象徴する1枚だが、夜の湿度はオリジナルにしかない。近年は日本のシティポップ好きのDJの間でも再評価が進んでいる。

この10枚に共通するのは、「ヒット曲の有無」と「アルバムの完成度」が一致していないことだ。チャート史は前者しか記録しないが、ストリーミング時代の今は、後者を自分の耳で確かめられる。まずは気になった1枚を、通しで。

目次

もっと網羅的に知りたい人へ ── AOR名盤100選

今回の10枚は、あくまで”入口”。西海岸ヨットロックからジャズ・フュージョン、和モノAORまで100枚を体系的にまとめた AOR名盤ランキング100選|完全ガイド で、あなたの”次の隠れ名盤”を見つけてほしい。

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